■労働災害に関する使用者の法律上の責任
法律上の責任の発生する法的根拠
労働災害において、使用者に対し法律上の損害賠償責任が問われる法的根拠としては通常次のようなものが考えられます。
労働基準法
第75条 療養補償
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
第76条 休業補償
労働者が第75条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行なわなければならない。
第77条 障害補償
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治ったとき身体に障害が存する場合においては、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第一に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行なわなければならない。
第79条 遺族補償
労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行なわなければならない。
第80条 葬祭料
労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行うものに対して、平均賃金の六十日分の葬祭料を支払わなければならない。
第84条 他の法律との関係
この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)又は命令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行われるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。
第2項 使用者は、この法律による補償を行なった場合においては、同一の事由については、その価額の限度において民法による損害補償の責を免れる。